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21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考
本, ユヴァル・ノア・ハラリ
によって ユヴァル・ノア・ハラリ
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ファイルサイズ : 23.15 MB
本タイトルには付属資料・PDFが用意されています。ご購入後、デスクトップのライブラリー、またはアプリ上の「目次」でご確認ください。(Android:アプリバージョン2.40以上、iOS:アプリバージョン3.11以上) 私たちはどこにいるのか。そして、どう生きるべきか――。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で全世界に衝撃をあたえた新たなる知の巨人による、人類の「現在」を考えるための21の問い。
ファイル名 : 21-lessons-21世紀の人類のための21の思考.pdf
21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
待望の翻訳が発売されました。本書は、著者のベストセラー作、サピエンス全史とホモ・デウスの出版後の雑誌記事を再編集するなどして制作されており、前二作から派生したものですが、今日の具体的な課題に回答を試みることで新鮮さに満ちた作品に仕上がっています。たとえば、著者は、前二作で触れなかった、AI時代の教育にも第十九章「教育」で触れています。その分析は日本の教育の専門家の一般向けの著作よりはるかに鋭いと思います。具体的には、著者は本書で、”21 Century Skills(21世紀のスキル)”(Bernie Trilling, Charles Fadel著)や"The New Education(新しい教育)"’ Cathy N. Davidson著) などの書物を紹介し、AI時代には、Cではじまる4つのスキル、すなわち論理的で批判的な思考、コミュニケーション、協力、創造力 (The Four Cs : critical thinking, communication, collaboration, and creativity) が大事であり、変化に対応し、新しいことを覚え、未知の環境でも心の平安を保てることが必要であり、 新しいアイディアや商品を創造するのみならず自分自身こそを再創造していく必要がある現実を受け入れなければならないと主張しています。本書が前二作より新しい、ということよりさらに重要なことは、歴史学者である著者が、一貫して地球規模で考える立場と、進化する人類の歴史を考える立場をとっていることです。これは、前二作より本書で一層明確になりました。交通・運輸・通信の技術と市場経済が発展することにより世界が一つになり、その地球環境が急激に変化しつつあることに加え、生命科学はついに人類が遺伝子操作をできるところまで発展した今日において、自然淘汰によりゆっくり進化し続けてきた人類が地球環境で今後いかに変化していくことについて考えることの重要性を主張するという、これまでの歴史家にない著者の姿勢そのものが、著者の著作の核心です。このアプローチは、今日において意味を持つようになりました。本書において、著者はこの新しい視点で、前作同様に驚くほど大量の資料をもとに、終始冷徹に人類が今日直面する多くの様々な問題のひとつひとつに向き合っています。どの問題も容易に解決できそうにないのですが、著者が真摯かつポジティブな姿勢をとっているため、読者は虚無に陥ることなく読書を楽しめます。著者は、この視点から、情報テクノロジーと生物テクノロジーによりリベラリズムなどこれまでの価値観や社会体制が地球上のどこにおいても機能しなくなったこと、それら変化は加速度的であること、この共通点によって現代文明は一つであること、地球の温暖化のように地球規模の大きな課題が発生する一方、現在の人類が生まれ備わった能力や性向が、非常にゆっくりした進化という過程を通じたものであるという制限のために、それら新しい問題に対応することがそもそも困難であることを説明しています。さらに、人間もアルゴリズムで動くシステムに過ぎず、どういうアルゴリズムを組むかについての選択の機会は人間に与えられていないし、世界に意味があるわけではない、と冷徹に主張し、第五部に課題の解としてResilienceを上げています。さらに、最終章で、生きているとはどういうことか、瞑想によって追究することを勧めています。瞑想を通じて、著者自身もアルゴリズムに過ぎないのか、自問しているのでしょう。そして、様々な難問に対しては、謙虚になれ、実際に苦しんでいる人々を救え、と主張しています。ところで、このResilienceは、日本語版では工夫なく、レジリエンスとカタカナに置き換えられているだけですが、英和辞典では、復元力とか回復力とか訳されています。判り難いのでオクスフォード現代英英辞典を引くと「ショックや怪我等の不愉快なことの後で速く立ち直ることができること」という趣旨で説明されています。本書英語版のreviewerのひとりのNAGATAさんは、「負けない強さ」と訳されています。なるほど。著者の視点の鋭さには舌を巻きますが、日本の現代史の記述には、やや、浅さを感じざるを得ません。参考文献が英語の出版物のみであり、これらに頼っているからでしょう。著者の主張は新しく鋭いものであるものの、話題が広すぎてこのように浅い部分がほかにもある懸念があります。また、人類全体を主人公とした歴史の視点は重要ですが、様々な国家や民族を主人公とした歴史学の重要性は今後も続くでしょう。歴史には人間の数だけ視点の数が存在し得ます。また、ゲイである著者の立場を尊重することを頻繁に主張しています。読者は著者を歴史学者として、いや、個人として尊重するでしょう。本書は書名に準じて次の21の章で構成されています。各章の題と副題は巧妙に本文の内容を表しています。それらの日本語と英語は以下の通りです。各部の冒頭にメッセージの要約がされているので、読後、そのメッセージを再読すると、効率よく復習することができます。括弧内にその要約をつけます。第一部 テクノロジー面の難題 ”The Technological Challenge”(Biotech とinfotech によりこれまで世界中で最も価値がある政治信条とされたLiberalismがその価値を失う。)第一章 幻滅/先送りにされた「歴史の終わり」”Disillusionment “,“The End of History Has Been Postponed”第二章 雇用/あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれない“Work “,“When You Grow Up, You Might Not Have a Job”第三章 自由/ビッグデータがあなたを見守っている”Liberty “,”Big Data Is Watching You”第四章 平等/データを制する者が未来を制する”Equality”, “Those Who Own the Data Own the Future”第二部 政治面の難題 "The Political Challenge"(現代文明はBiotech とinfotechにリードされている点で一つである。Biotechとinfotechは、現代社会の基礎であるLiberalismのみならずEquality(平等主義)をも脅かす。それに対応するには世界中で協力することが必要であるところ、Nationalism, 宗教、文化の差異がそれを困難にしている。)第五章 コミュニティ/人間には身体がある”Community”, “Humans Have Bodies”第六章 文明/世界にはたった一つの文明しかない”Civilization”, “There Is Just One Civilization in the World”第七章 ナショナリズム/グローバルな問題はグローバルな答えを必要とする”Nationalism”, “Global Problems Need Global Answers”第八章 宗教/今や神は国家に仕える”Religion”, “God Now Serves the Nation”第九章 移民/文化にも良し悪しがあるかもしれない”Immigration”, “Some Cultures Might Be Better than Others”第三部 絶望と希望 "Despair and Hope"(人類の直面する課題はこれまで経験したことのないものであり、人類の間の非合意は頑固なものだが、人類が恐怖心を抑え謙虚になることができればこの難局に対処できる)第十章 テロ/パニックを起こすな”Terrorism”, “Don’t Panic”第十一章 戦争/人間の愚かさをけっして過小評価してはならない”War”, “Never Underestimate Human Stupidity”第十二章 謙虚さ/あなたは世界の中心ではない”Humility”, “You Are Not the Center of the World”第十三章 神/神の名をみだりに唱えてはならない”God”, “Don’t Talk the Name of God in Vain”第十四章 世俗主義/自らの陰の面を認めよ”Secularism”, “Acknowledge Your Shadow”第四部 真実 "Truth"(地球上の人類の危機にどうしてよいか分からなくなるのは当然だ。現代世界はだれにとっても複雑すぎる。ではどうやって真の世界像を知ることができるか?)第十五章 無知/あなたは自分で思っているほど多くを知らない”Ignorance”, “You Know Less than You Think”第十六章 正義/私たちの正義感は時代後れかもしれない”Justice”, “Our Sense of Justice Might Be Out of Date”第十七章 ポスト・トゥルース/いつまでも消えないフェイクニュースもある”Post-Truth “ , “Some Fake News Lasts Forever”第十八章 SF/未来は映画で目にするものとは違う”Science Fiction”, “The Future Is Not What You See in the Movies”第五部 レジリエンス "Resilience"(過去の知識や価値観が無効になりそれに代わるものが見つからないという混乱に際してどう生きるか?)第十九章 教育/変化だけが唯一不変”Education”, “Change Is the Only Constant”第二十章 意味/人生は物語ではない”Meaning”, “Life Is Not a Story”第二十一章 瞑想/ひたすら観察せよ”Meditation”, “Just Observe”私は英語版を読みました。英語版は、前二作同様、わかりやすい単純で明快な、しかし、退屈しない英語で書かれており、高校までの課程を済ませてあればだれでも十分読むことができると思います。いやむしろ、著者の意味することが明確にわかります。日本語版の日本語は、よくできていると思いますが、やや、直訳的で堅い部分があるような気がします。日本語版を読んで、腑に落ちないな、と思われた読書人は、英語版をご参照ください。KindleのWordwiseを使いながらであれば、語彙面でも案外楽に読み進むことができます。廉価でもあります。英語kindle版にある、付録 ”Q&A with Yuval Noah Harari" は日本語版にはないようです。
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