知略を養う 戦争と外交の世界史

出口さんは世界史についての著書が多数あるが、基本的には新しく示唆されることはない。入門書として最初に手を取るにはいいかもしれない。ただ、一定の価値観からの評価から事実を曲げている部分もある。（もしくは、古い本からの受け売りをしたために意図的では無いかもしれないが）例えば、古代日本と中国朝鮮との関係については誤りがある。古代日本には渡来人が技術等を持ち込んだことは間違いが無いが、ほとんどが中国系であり百済人が伝えたわけでは無い。百済は経由地であり、逆に日本から前方後円墳や銅器や埴輪が持ち込まれているのである。出口氏は、日本は傭兵を輸出していたと述べているが、話は逆で日本→朝鮮への伝来が中心であった。百済も新羅も日本へ王子を人質に出しており、この点からも力関係が明らかであろう。また広開土王碑を一部引用しているが、当該碑文に百済・新羅が日本へ臣従していた記述があることへは触れていない。何か価値判断があってのことなのだろうか。出口さんの本は計4冊購入しているが、マーケティングが上手く購入意欲はそそられるが、文章のつなぎ方が上手では無く読みづらい。